超レアもの、ねずみの毛



[左から]

1.先白(サキシロ)
長くて一定の細さの線が描け一番高価。

2.本根朱(ホンネジ)
長く真っ直ぐな線に向いている。
背中の毛らしい。

3.脇毛(ワキゲ)
小回りが利く描き方ができる。

以上の3本が「ねずみの毛」。

4.猫か兎の毛
いい線は描けるが長くは描けず盛り上がりの少ない線になる。

5.狸系の毛か?
盛り上がりが少ない線で、か弱い感じの線になる。


→福井県鯖江市の漆器蒔絵職人、松田祐明さんに蒔絵に使う貴重な筆のお話などをうかがいました。



ねずみと猫に食べさせて貰ってます(笑)

「蒔絵」では、昔も今も毛の材料は変わらないと思います。
ねずみの毛、猫の毛などを使います。
ねずみと猫に食べさせて貰ってますね(笑)。
ただ、ねずみの毛(コンクリートなどで毛が擦れてないもの)は日本ではもう手に入りません。
何でも捕る人がいなくなったとかで、、、、、今はそんな仕事をしなくても、コンビにとかでバイトした方が良い為?、でしょうか。
それで、中国から入ってくるらしいのですが毛の質までは伝わらなくて、「蒔絵」筆に出来るまでには至っていないそうです。
実際に注文しても2年以上入ってきませんから。

漆は、山(主に昔は東北地方)で採取され、それを「ねずみの毛」で描き、金や銀を蒔き付け(殿様などから頂く小判や銀貨など)、それを漆で塗りかぶせ、それを研ぎ出します(木炭やトクサ[砥草])を使います。
研ぎ傷はとの粉と油を練ったもので磨く・・・・とすべて身の回りにあったものであの高度な技術で素晴らしい「蒔絵」が完成されました。
黒船の外人が、印籠に興味を持ち「作業場を見たい。どんな風にして作るのか?」と言うことで見たが、机の上に質素な道具があるだけでとても驚いたと聞きます。


いい筆の条件は、

日本では以前、琵琶湖の湿地帯に棲息する「ねずみ」が珍重されたんです。
「ねずみの毛」の筆は2〜4万位しますが、すべてがいい筆ではないので5〜6本買い、その中のいいのを選びます。
いい筆の条件は、実は、死後何日か過ぎた状態の「ねずみの毛」なんです。
死骸を一度埋めておくと、死んだねずみの養分を吸って、毛先から透明な水毛が極少々出ます。
これです!利点は!・・・・たっぷり漆を浸けても毛先が尖っている為に細く盛のいい線が描けます。
「猫の毛」では不可能な線で、実に切れが良く名人の仕事に見えます。


内緒ですが(笑)

輪島は全工程が108行程あり、どれひとつ抜けても輪島塗と言わない位い厳格なものです。
ですから、何年使っても狂いが出にくく、また古くなったら塗り直せばまた新品になります。
下地に輪島でしか取れない地の粉を使います。
これがかなり硬くていい下地になります。
骨董屋さんで輪島塗を見つけたら儲けものです。
もちろん、骨董屋さんが輪島塗と気付かなくての話ですが。
中を塗り直せば最高にいい味になって使えます。
結構こういう使い方の料亭は多いですよ。
今のものは高級すぎて手が出ませんね。

また、越前はそこまでこだわらずに品質を追及した物です。
リーズナブルでそこそこの品質。
結構輪島の業者さんも越前漆器を輪島塗で売っています...内緒ですが(笑)。
蒔絵の観点から行くと、輪島は金沢に近いこともあり道具物として蒔絵を取り入れ発展しましたが、越前はいかんせん、量産主義ですから日常使いの感が否めません。


01
「琥珀に鳳凰図」

04
「琥珀に秋草蒔絵」

02
「琥珀にこぼれ梅」(又は花火蒔絵)

03
「琥珀に青海波」「琥珀に羽蒔絵」「飛翔」
(左から)

私がフランスに行ったとき、

これは不思議?と思っていることがあります。
その昔(江戸時代〜明治)にかけて、関東で「柴山蒔絵」と言うのがありました。
象牙、鼈甲、メノウ、その他と使い、まるで一つ一つを生き物のように彫刻した物を貼り付けて蒔絵を施した物です。
主に輸出用として生産されました。
しかし、その技術があまりに高度な為、代々受け継ぐことが出来ませんでした。

私がフランスに行ったとき、骨董屋さんで「柴山蒔絵」だけの専門店を見つけて驚きました。
お値段も驚きましたが、細工の一つ一つを本物の蝶とか葉に彫るのです
うちにも一度修理に来ましたが出来ない為、手を付けずに返してしまいました。
ちなみに越前漆器組合にも「柴山蒔絵」のいい棚があります、未公開ですが。
これのすごさを誰もわかっていない・・・泣!


もっと研究しなければならないですね

道具では、ちなみに漆塗り刷毛が人間の女性の髪の毛なんです。
今は、アデランスに取られて相場が上がってしまったとのこと。
その他、道具一つ一つに面白い話はあると思いますが、小さい頃から慣れ親しんでいるので、今は、こんな話しか浮かびませんが、、、、、、。

尾形光琳は桃山時代の蒔絵師ですが、すでに螺鈿、鉛など、今と変わらない、というかあまり進歩していない。
過去に「おんぶに抱っこ」だと思います。
我々はもっと研究しなければならないですね。
そんな事も考えながら、仕事をしています。


松田さん

松田祐明
連絡先:松田蒔絵工房
〒 916-1222福井県鯖江市河和田町12-17
TEL(0778)65-0760  FAX(0778)65-0760
http://www.makieshi.com/index.html